英語おんちの『ノーベル賞』 益川敏英博士の場合

ノーベル賞受賞者が一気に4人も出たことはサプライズだが、しかし僕にとっての最大のサプライズは、受賞者の一人、益川敏英博士がまったく英語ができない!ということだ。 もちろんそれは、英語コンプレックスの人に朗報だとか、もう英会話は必要ないとかで…

─『いのちの初夜』 ねじれた差別問題

先日、子供の通う小学校で、ハンセン病患者から話を聞くという授業があったらしい。ここ東村山には古くから、ハンセン病患者隔離施設の[全生園]があり、こういった機会が多いということだ。たぶん、差別について語ったのだろうが、しかし一般論的な、ステレ…

特区行政 「株式会社小学校」

さまざまな業界に、「特区」という制度が有って、それが活用できると多くの「自由」が認められるようだ。今朝NHKで、特区によって作られた、「株式会社小学校」のニュースをやっていた。元英語塾の経営者が行政と一体となって作った学校ということなのだが、…

 「50、80、よろこんで!」

ここ数年ずっと、外資系の保険会社がめだっていたけど、安い反面、そうとうヤバイ状態だったことをどれだけの日本人が知っていたのだろう? 「50,80、よろこんで!」なんて言葉に騙されて、いつ破綻してもおかしくない保険会社にせっせとお金を送ってい…

天罰! 9.11テロ

「ノアの箱舟」に始まる、理不尽ともいえる天罰は、だいたい快楽に耽った民衆がそのターゲットとなりました。天から火が降ってきたという、ソドムとゴモラの物語は、本当かどうかは別として、性の乱れ、特に男色に対しての天罰だといいます。 ただ、「バベル…

門前の小僧「サッカー」を語る

ラグビーボールが楕円形をしていることと、サッカーが足でボールを扱う競技であることは、あえて「思い通りに事が運ばない」ようなルールにしているという意味で、同じ種類に属する、特殊なスポーツです。 よく知られたことですが、サッカーの発祥と、ラグビ…

「日本」対「バーレーン」

褒めて育てるのは小学生までにしてほしい。 「細かくパスをつないでシュートを決める」という日本が目指す(らしい)サッカーはこの試合90分間一度としてなかった。にもかかわらず、バカな解説者はあいもかわらず、「日本らしいしぶといサッカーができまし…

祝 日露戦争戦勝記念日!

9月5日は歴史的にちょっと面白い日で、ロシアに勝った日でもあり、負けた日でもあります。1905年9月5日 :ポーツマス条約が締結され、日露戦争終戦。 1945年9月5日 :この日までにソ連軍が北方領土(国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島)を占領。実質的…

井上靖 『氷壁?』

今年の夏休みは、念願の北アルプス登山と決めていたので、その前に、井上靖の 『氷壁』を読み直してみた。 登山ルートも、小説に登場する徳沢園経由、涸沢(家族連れなのでここまで) ということで、小説中ナイロンザイルが切れて小坂が滑落死したという前穂…

太宰治の「マザー・シップ」

今日、たまたま文芸誌の対談記事を立ち読みしていたら面白いことが書いてあった。 吉本隆明がずっと昔に、太宰治に会った時の話。 太宰に、「おまえ、男らしさってなにか知ってるか?」 と聞かれ、「知りません」 と答えると太宰は、「それは、マザー・シッ…

北京オリンピックの 「君が代」

北京オリンピックで流れる 「君が代」 がなかなか好い。 普段流れている「君が代」に比べてゆったりと演奏されて荘厳な感じが表れている上に、「さ〜ざ〜れ〜 い〜し〜の〜」の、れ〜と、の〜のところにアレンジされた、ドラの響きがまた「ゾクッ」とさせて…

靖国神社と「カタルシス」

先日読んだ対談本に、面白い事が書いてあった。ミッドウェイ海戦のあ と、天皇が東条英機に、「ミッドウェイでは大変だったそうだね」と尋 ねたところ、東条は、言っている意味が解らず、あとからその大敗の内容を聞いて驚いたというのだ。 海軍の台湾沖航空…

祝 中国五輪

細かい数字は忘れましたが、当初600億円ぐらいだった「鳥の巣」スタジアムの建設予算が、途中で200億円も削られた理由は、まさにこれですね。チャン・イーモウの造った開会式プランがあまりにも壮大で、しかも、中華たる漢民族の栄光の歴史をみごとに…

日本対アメリカ 「儀式」としてのサッカー

「アメリカにはサーカーとして見るべきものは何もないんですがね〜」 北京オリンピック男子サッカーの初戦、日本が0対1で敗れる直前、解説者の山本正邦が吐いた言葉だ。 しかしなんでサッカーをしていないチームに、サッカーをしているチームが負けるのか…

都合のいい「感性」

なつかしい保守派の友人からコメントをいただきましたので、その引用から。 K氏 「言ふまでもなく、モダン社会は絶対的なものではありませんし、個人的にはデカルト主義はかなり気持ち悪いですが、私たちは現実にモダン社会に生きてをり、【モダン社会に責任…

『松林図屏風』の罠

絵画の世界では、西洋画には奥行きが描かれているが、東洋の絵画には描かれていない、とよく言われます。しかし添付した、長谷川等伯の 『松林図屏風』 には、みごとな奥行きが描かれていますし、多くの水墨画にも、奥行きは描かれています。主にその技法を…

『ハリーポッター』が売れるわけ

いつのまにか、「SF」がメディアから消えたかわりに、「ファンタジー」が、メディアを席巻し始めて久しい。 SFと、ファンタジーは、同じフィクションを扱ってはいるが、その思想的背景は、天と地ほど違う。 SFはあくまでも、遠い将来の「現実」を描こうとし…

強迫観念の造る「歴史」

敵の姿が見えない。それだけでなく、そこに敵がいるかどうかも判らない。 しかたなく仮想敵をイメージするしかないのだが、いつのまに か、仮想敵は仮想空間のなかに形造られ現実味を帯びてくる。しかしその仮想敵は、その存在理由を見いだすことが不可能な…

監視カメラフェチ

監視カメラ」というと、ロンドンが有名ですが、最近、どんな事件にも 監視カメラの映像が流れる印象がある、ワガクニではどうか? 以前 ニュースで見たのですが、ロンドンでは希望してお金を払えば、逆に自 分を監視してもらって、犯罪から身を守ることがで…

教育委員会の謎

教育委員会という組織が、なにをしているところなのかよくわからない分、やはり内部では、いろいろやっているみたいですね。僕が子供のころは教育委員会っていう言葉じたいあまり聞かなかったような気がしますが。最近はやたらと問題をおこしているようです…

光市母子殺害事件と裁判員制度

少し前の話題ですが。 「来年5月21日に施行される裁判員制度を前に、1つの事件を5つのグループ(裁判官3人、裁判員6人)が同時に審理して判決を出し、刑の重さ(量刑)にどのような差が出るかを検証する模擬裁判が14日、東京地裁で開かれた。 その…

恐怖の「地中美術館」

「なにか変だぞ」という感覚がずっと抜けなかった。香川県直島を社員旅行で訪れた時のことだ。ここには安藤忠雄設計による、有名な地中美術館はじめ、ベネッセミュージアム、町中に散在する、現代美術のための「家プロジェクト」などがある。さながら現代美…

参審制始まる

日本の検察や裁判所がすんなり裁判員制度に賛成するはずはないと思っていましたが、「なるほど、これなら賛成するはずだ!」 というような裁判員制度が来年5月からスタートします。 要は、裁判所は無知な一般民衆の判断に左右されることなく、これまでと同…

林えいだい著 『陸軍特攻・振武寮』

この本は、NHKのドキュメンタリーで多少話題になった、振武寮の話。 振武寮とは、陸軍の神風特攻隊として出撃はしたものの、機体のトラブルや天候不良で帰ってきてしまった、「一度死んだはずの兵隊」を隔離する宿舎だ。 とはいえこの本は、振武寮についての…

つづき

軍の上層部だけでなく、兵士自身が自らの命を軽く扱ったことは、それが戦時中の特殊な出来事ではなかったことが、戦後の様々な史実を注視することでよくわかる。 日本人にとって、「生き抜く」 ことは、決して第一義的なことではないのだ。 しかしそれは、野…

神風特攻隊の裏話から

この間、NHKで神風特攻隊の裏話ともいえるおもしろいドキュメンタリーをやっていた。 最近問題になっている沖縄での集団自決にも似た、「特攻の強制があった」的な内容だ。 おもしろいのは、特攻攻撃責任者の陸軍中将が、航空隊の兵士達の所にわざわざやって…

「擬似モダニズム」の地平 再考

近代(モダニズム)とは合理主義という言葉とほぼ等しい。 たとえば、沢山あった地方言語は、「国語」一つでいいし、さらに進めば、「英語」 だけでもいい。また、地域に固有の素材を生かした建物は、人工素材で大量に造られた均質な建材を使う方が合理的で…

再掲載 ニッポンの「運動会」

今日は子供の運動会でした。 「ここ2・3年、子供の運動会へ行くようになって、あらためて 「?」 と思うことがある。 それは ─「どうして赤と白に分かれて戦うの?」─ ということだ。 ちゃんと調べたわけではないが、これは世界でも珍しい風習なのではない…

雨宮処凛のワーキングプア闘争

先日、雨宮処凛さんの話を聞く機会があった。 去年、このブログにも取り上げたが、ワーキングプア問題の活動家として活躍する彼女は、かつてイラクで反米の歌を歌って、今は無きサダムの息子と親交をもったり、日本でも右翼団体に入って、右翼系バンドを組ん…

「9.11」へ向けて 再掲載

─「賢明であるとか、力があり、自分は正しいと考えているような人々の行為は、特別に断罪におちいるのであろう。バベルの塔を建てた人々は、天まで達するような塔を建てようとしたがゆえに、それは否定され、散りぢりばらばらになった。 都市における 「摩天…