「9.11」へ向けて 再掲載

ccg2007-09-11

─「賢明であるとか、力があり、自分は正しいと考えているような人々の行為は、特別に断罪におちいるのであろう。バベルの塔を建てた人々は、天まで達するような塔を建てようとしたがゆえに、それは否定され、散りぢりばらばらになった。 都市における 「摩天楼」 にその代表的なシンボルを見出す今日の技術文明が直面するかもしれない破壊的な予測は、現代におけるバベルの塔の、ひとつの事例と考えることができるかもしれない」─ラインホールド・ニーバー

この文章は、「9.11テロ」 より遥か以前、1952年に書かれたものだ。 繁栄を極めるアメリカがいずれ被るであろう悲劇を、正確に予測している。 この、 『アメリカ史のアイロニー』 (聖学院大学出版会) という、優れた論考の著者、ラインホールド・ニーバーは、宗教学者として、アメリカの精神史を、宗教の側面から捉えようとするが、 その根底には、旧約聖書の、選ばれし民による、─「約束の土地」─への悲願があるという。 

 ─「賢明であるとか、力があり、自分は正しいと考えているような人々」─とは、 「WASP」、つまり、白人、アングロサクソンプロテスタントのことだ。 このような超大国のエリート達による支配を、ニーバーは、 「ナイーブなアイデアリストによる観念的支配」 と、断罪したが、現代に至っては、そのようなアイデアリスト達を、 「ネオ・コン」 と呼んでも、なんら問題はないだろう。
 そしてまた─「散りぢりばらばらになった摩天楼」─は、 ユダヤ人建築家、ダニエル・リベスキンドの手によって、さらに天まで達するような塔の建設によって補われるのだ。【M】