2008-01-01から1年間の記事一覧

「上意下達」の裁判員制度

行政主導による、参審制の導入は本来的に可能なのだろうか。司法を味方とするべく、「民意」が、立法府を動かし、その意向を受けた行政府がそのシステムを作るのだと、文字通りに考えるならば、日本の裁判員制度は、それとは逆に、「上」から降りてきたとい…

 「光市母子殺人事件」の恐怖

光市母子殺人事件被告の少年(当時18歳)は、ほとんどの人の印象では、「凶悪な殺人者」なのだろう。いたいけな母親を馬乗りになり首を絞め殺害し、泣き叫ぶ乳児を床に叩き付け殺害したと。 しかし実際はそうではない。遺体には、首を絞められた痕跡も、叩…

スケープゴードとしての犯罪者

古くから「法華信者」という一団がいる。この信者達の最大の特徴は、日本には珍しく、ポジティブな考えをもっていて、他の宗派のように、極楽浄土は「あの世」にではなく、この世に成就させなければいけないという考えを持つ。だから日本で今、布教活動をし…

「2960」 劇場型報復裁判と裁判員制度

闇サイトで繋がった3人の男が、金銭目的のために一人の女性を殺した。名古屋地裁で始まった公判では、検察側は法廷の大型画面に、被害者利恵さんの誕生直後から社会人になるまでの写真を映しながら、親一人子一人だった母親に質問する。 「主人に申し訳ない…

 裁判員の苦悩

昨日、テレビをつけたら、黒人霊歌 『誰も知らない私の悩み』 が流れていた。 この有名な霊歌の最初の歌詞、 ─私の悩みは誰も知らない、イエス様だけが知っている─ 公判を終え、評議に入る裁判員達は、最初に「宣誓」をする。 しかし宗教を持たないわれわれ…

「日本のこれから 裁判員制度」 に参加して

「NHKスペシャル─あなたは死刑を言いわたせますか」より 金もなく仕事も無い男が、強盗にではなく、泥棒にはいる。そこで運悪く見つかってしまった夫婦を刺し殺してしまう。そして死刑判決。 ふたりの人間を殺意を持って殺せば一律「死刑」になるというこ…

映画 『評決のとき』 から「裁判員制度」を考える

1996年アメリカ映画、『評決のとき』 について ミシシッピーのある町で、黒人の少女二人が、白人二人に強姦され、子供が生めない体にされてしまう。 怒りに燃えた少女の父親は、その白人二人を射殺し、止めようとした警官にも重症を負わせる。 黒人差別…

愚劣!「被害者参加制度」

犯罪被害者や遺族が加害者の刑事裁判で被告人質問したり、求刑意見を述べたりする被害者参加制度が12月1日、改正刑事訴訟法の施行に伴いスタートするそうです。しかしとんでもないことを行政は考えるもんですね。被害者は、そうとう複雑な立場に立たされ…

「裁判員制度」を延期させるには

このところずっと書き込みが出来なかった理由は、仕事が一年で一番忙しい時期に突入してしまったことと、にもかかわらず、mixi で裁判員制度是非の論戦にはまってしまったことです。 裁判員制度は来年5月に始まりますが、多くの人がご存知のように、その内…

 日本プロ野球の終末

どうして、メジャーリーグの野球場は、イビツな形をしているのか? どうしてアメリカンリーグの西部地区だけ他の地区より球団数が少ないのか? どうして地区優勝できずにワイルドカードで勝ち上がっただけのチームであっても、あんなに天真爛漫にワールドシ…

英語おんちの『ノーベル賞』 益川敏英博士の場合

ノーベル賞受賞者が一気に4人も出たことはサプライズだが、しかし僕にとっての最大のサプライズは、受賞者の一人、益川敏英博士がまったく英語ができない!ということだ。 もちろんそれは、英語コンプレックスの人に朗報だとか、もう英会話は必要ないとかで…

─『いのちの初夜』 ねじれた差別問題

先日、子供の通う小学校で、ハンセン病患者から話を聞くという授業があったらしい。ここ東村山には古くから、ハンセン病患者隔離施設の[全生園]があり、こういった機会が多いということだ。たぶん、差別について語ったのだろうが、しかし一般論的な、ステレ…

特区行政 「株式会社小学校」

さまざまな業界に、「特区」という制度が有って、それが活用できると多くの「自由」が認められるようだ。今朝NHKで、特区によって作られた、「株式会社小学校」のニュースをやっていた。元英語塾の経営者が行政と一体となって作った学校ということなのだが、…

 「50、80、よろこんで!」

ここ数年ずっと、外資系の保険会社がめだっていたけど、安い反面、そうとうヤバイ状態だったことをどれだけの日本人が知っていたのだろう? 「50,80、よろこんで!」なんて言葉に騙されて、いつ破綻してもおかしくない保険会社にせっせとお金を送ってい…

天罰! 9.11テロ

「ノアの箱舟」に始まる、理不尽ともいえる天罰は、だいたい快楽に耽った民衆がそのターゲットとなりました。天から火が降ってきたという、ソドムとゴモラの物語は、本当かどうかは別として、性の乱れ、特に男色に対しての天罰だといいます。 ただ、「バベル…

門前の小僧「サッカー」を語る

ラグビーボールが楕円形をしていることと、サッカーが足でボールを扱う競技であることは、あえて「思い通りに事が運ばない」ようなルールにしているという意味で、同じ種類に属する、特殊なスポーツです。 よく知られたことですが、サッカーの発祥と、ラグビ…

「日本」対「バーレーン」

褒めて育てるのは小学生までにしてほしい。 「細かくパスをつないでシュートを決める」という日本が目指す(らしい)サッカーはこの試合90分間一度としてなかった。にもかかわらず、バカな解説者はあいもかわらず、「日本らしいしぶといサッカーができまし…

祝 日露戦争戦勝記念日!

9月5日は歴史的にちょっと面白い日で、ロシアに勝った日でもあり、負けた日でもあります。1905年9月5日 :ポーツマス条約が締結され、日露戦争終戦。 1945年9月5日 :この日までにソ連軍が北方領土(国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島)を占領。実質的…

井上靖 『氷壁?』

今年の夏休みは、念願の北アルプス登山と決めていたので、その前に、井上靖の 『氷壁』を読み直してみた。 登山ルートも、小説に登場する徳沢園経由、涸沢(家族連れなのでここまで) ということで、小説中ナイロンザイルが切れて小坂が滑落死したという前穂…

太宰治の「マザー・シップ」

今日、たまたま文芸誌の対談記事を立ち読みしていたら面白いことが書いてあった。 吉本隆明がずっと昔に、太宰治に会った時の話。 太宰に、「おまえ、男らしさってなにか知ってるか?」 と聞かれ、「知りません」 と答えると太宰は、「それは、マザー・シッ…

北京オリンピックの 「君が代」

北京オリンピックで流れる 「君が代」 がなかなか好い。 普段流れている「君が代」に比べてゆったりと演奏されて荘厳な感じが表れている上に、「さ〜ざ〜れ〜 い〜し〜の〜」の、れ〜と、の〜のところにアレンジされた、ドラの響きがまた「ゾクッ」とさせて…

靖国神社と「カタルシス」

先日読んだ対談本に、面白い事が書いてあった。ミッドウェイ海戦のあ と、天皇が東条英機に、「ミッドウェイでは大変だったそうだね」と尋 ねたところ、東条は、言っている意味が解らず、あとからその大敗の内容を聞いて驚いたというのだ。 海軍の台湾沖航空…

祝 中国五輪

細かい数字は忘れましたが、当初600億円ぐらいだった「鳥の巣」スタジアムの建設予算が、途中で200億円も削られた理由は、まさにこれですね。チャン・イーモウの造った開会式プランがあまりにも壮大で、しかも、中華たる漢民族の栄光の歴史をみごとに…

日本対アメリカ 「儀式」としてのサッカー

「アメリカにはサーカーとして見るべきものは何もないんですがね〜」 北京オリンピック男子サッカーの初戦、日本が0対1で敗れる直前、解説者の山本正邦が吐いた言葉だ。 しかしなんでサッカーをしていないチームに、サッカーをしているチームが負けるのか…

都合のいい「感性」

なつかしい保守派の友人からコメントをいただきましたので、その引用から。 K氏 「言ふまでもなく、モダン社会は絶対的なものではありませんし、個人的にはデカルト主義はかなり気持ち悪いですが、私たちは現実にモダン社会に生きてをり、【モダン社会に責任…

『松林図屏風』の罠

絵画の世界では、西洋画には奥行きが描かれているが、東洋の絵画には描かれていない、とよく言われます。しかし添付した、長谷川等伯の 『松林図屏風』 には、みごとな奥行きが描かれていますし、多くの水墨画にも、奥行きは描かれています。主にその技法を…

『ハリーポッター』が売れるわけ

いつのまにか、「SF」がメディアから消えたかわりに、「ファンタジー」が、メディアを席巻し始めて久しい。 SFと、ファンタジーは、同じフィクションを扱ってはいるが、その思想的背景は、天と地ほど違う。 SFはあくまでも、遠い将来の「現実」を描こうとし…

強迫観念の造る「歴史」

敵の姿が見えない。それだけでなく、そこに敵がいるかどうかも判らない。 しかたなく仮想敵をイメージするしかないのだが、いつのまに か、仮想敵は仮想空間のなかに形造られ現実味を帯びてくる。しかしその仮想敵は、その存在理由を見いだすことが不可能な…

監視カメラフェチ

監視カメラ」というと、ロンドンが有名ですが、最近、どんな事件にも 監視カメラの映像が流れる印象がある、ワガクニではどうか? 以前 ニュースで見たのですが、ロンドンでは希望してお金を払えば、逆に自 分を監視してもらって、犯罪から身を守ることがで…

教育委員会の謎

教育委員会という組織が、なにをしているところなのかよくわからない分、やはり内部では、いろいろやっているみたいですね。僕が子供のころは教育委員会っていう言葉じたいあまり聞かなかったような気がしますが。最近はやたらと問題をおこしているようです…