2007-01-01から1年間の記事一覧

林えいだい著 『陸軍特攻・振武寮』

この本は、NHKのドキュメンタリーで多少話題になった、振武寮の話。 振武寮とは、陸軍の神風特攻隊として出撃はしたものの、機体のトラブルや天候不良で帰ってきてしまった、「一度死んだはずの兵隊」を隔離する宿舎だ。 とはいえこの本は、振武寮についての…

つづき

軍の上層部だけでなく、兵士自身が自らの命を軽く扱ったことは、それが戦時中の特殊な出来事ではなかったことが、戦後の様々な史実を注視することでよくわかる。 日本人にとって、「生き抜く」 ことは、決して第一義的なことではないのだ。 しかしそれは、野…

神風特攻隊の裏話から

この間、NHKで神風特攻隊の裏話ともいえるおもしろいドキュメンタリーをやっていた。 最近問題になっている沖縄での集団自決にも似た、「特攻の強制があった」的な内容だ。 おもしろいのは、特攻攻撃責任者の陸軍中将が、航空隊の兵士達の所にわざわざやって…

「擬似モダニズム」の地平 再考

近代(モダニズム)とは合理主義という言葉とほぼ等しい。 たとえば、沢山あった地方言語は、「国語」一つでいいし、さらに進めば、「英語」 だけでもいい。また、地域に固有の素材を生かした建物は、人工素材で大量に造られた均質な建材を使う方が合理的で…

再掲載 ニッポンの「運動会」

今日は子供の運動会でした。 「ここ2・3年、子供の運動会へ行くようになって、あらためて 「?」 と思うことがある。 それは ─「どうして赤と白に分かれて戦うの?」─ ということだ。 ちゃんと調べたわけではないが、これは世界でも珍しい風習なのではない…

雨宮処凛のワーキングプア闘争

先日、雨宮処凛さんの話を聞く機会があった。 去年、このブログにも取り上げたが、ワーキングプア問題の活動家として活躍する彼女は、かつてイラクで反米の歌を歌って、今は無きサダムの息子と親交をもったり、日本でも右翼団体に入って、右翼系バンドを組ん…

「9.11」へ向けて 再掲載

─「賢明であるとか、力があり、自分は正しいと考えているような人々の行為は、特別に断罪におちいるのであろう。バベルの塔を建てた人々は、天まで達するような塔を建てようとしたがゆえに、それは否定され、散りぢりばらばらになった。 都市における 「摩天…

必読! 植松三十里著 『黍の花ゆれる』講談社

ふだん、あまり小説を読むほうではないが、久々に、小説を「楽」しむことができた。 植松三十里著 『黍(きび)の花ゆれる』 は、西郷隆盛の半生を、奄美流刑になった3年間だけ、「島妻」 となった女、愛加那(あいかな)の眼を通して描いた、美しい歴史小…

「戦勝記念」の日!?

9月5日は、新興国ニッポンが、老大国ロシアを破り、ポーツマス条約の調印式が行われた、記念すべき「戦勝記念」の日!、の、はずなのだが、なぜかワガ国にはそれらしい行事も、ニュースも見当たらない。 この時のニッポンの勝利は世界史を揺るがすほどの大…

東京最悪の建造物

この写真の建造物は、東京に住んでいる人であれば、必ず何度かは目にしている高層ビルなのではないでしょうか。 それは、高層ビルの少ない、代々木に建ってるからよく目立つという理由もありますが、このビルがやけに目に付く理由はもっと他にあります。 簡…

山下さすが著 『ハッピー転職バイブル』中経出版

転職には、キャリアアップ転職とキャリアダウン転職がある。 趣味と実益が一致していない人が、リストラされたり、なんとなく社内でうまくゆかなかったりで転職しなければならないとしたら、多くの場合は、キャリアがダウンしてもしかたがないと思ってしまう…

自爆テロと特攻攻撃の「差」

特攻といえば航空機による自爆攻撃をイメージするが、日本軍は、人間魚雷「回天」 による特攻攻撃の他、挺進爆雷艇というベニヤ板で作ったモーターボートによる特攻攻撃も行っていた。 何かヤケクソな作戦のようにも感じられるが、靖国神社の資料によれば、…

戦没者への「うしろめたさ」─黒澤明『夢』から

先回投稿に書き込んだ、われわれが感じなければならない、「うしろめたさ」について。 去年夏の投稿を再掲載します。 「小説家、なかにし礼は、満州に生まれ、終戦、死の淵を彷徨うようにして日本に帰ってくる。 大陸の悲惨な状況を知るなかにしは、本土が更…

靖国神社の本質─『顕彰』から『鎮魂』へ

去年夏、掲載したものを一部書き直して再掲載します。 「私は、戦前と戦後を境にして、靖国神社の性質が、大きく変化したと思っている。 戦没者の祀られる意味が変わったのだ。 簡単に言えば、以前の靖国は、国に殉じた英霊達の魂が集まる場所であったが、戦…

NHKスペシャル「鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争〜」

NHKスペシャル「鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争〜」 は、何か新しいコンセプトで作られているように感じさせたが、ほぼ毎年この時期に放送される、日本軍を悪役とした「反戦ドラマ」の一環、という範疇を超えるものではなかった。 語り口が斬新なだけで…

▼安倍さんが辞めない本当の理由

スタンレー・キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』 で、一番記憶に残っているシーンは、少年達が、「雨に唄えば」を口ずさみながら、浮浪者風の男に暴行を加える場面だ。 この映画は1971年封切りだから36年前に作られた、近未来映画ということにな…

「他者」不在の内閣 赤城さんの立場

このブログでも何度も取り上げたが、現職大臣の松岡さんが、パジャマのままで死んでしまった、というか死んで「しまえた」理由が、今でも分からない。そしてその謎は、なぜか自分の中では、「安倍ちゃんは、なぜ、赤城さんを松岡さんの後任にできたのか?」 …

▼等身大の─[政治]と[行政]

[政治]─安部晋三内閣の、最大のサプライズは、なんといっても、現役大臣松岡さんの自殺ではなく、「赤城農林水産大臣」の任命だろう。ちょっときのどくだが、ただでさえ「え!」、と思ってしまうほど貧相な男が、頬とおでこに絆創膏をつけて、ネクタイも禁止…

オーム事件と沖縄の「奇祭」

前回の続きとして、組織犯罪とその構成員の責任について。 例が少し極端かもしれないが、9.11テロより前、アメリカは、クリントン大統領の時代に、ヴィン・ラディンが使っていると思われた携帯電話の電磁波を探知して、そこにミサイルを撃ち込んだ。この無差…

▲オーム大量死刑判決の「怪」

一連のオーム事件で、死刑判決を受けた被告は13名。昨日、地下鉄サリン事件の実行犯のひとり、横山真人の3人目の死刑が確定し、残る10人が控訴している。以前のブログにも書いたが、この13人の死刑判決の多さは異常だ。事件の性質の差もあり、もちろ…

命を守る「基準値」

最近、耐震偽装問題で、国交省が実際には、0.3しかなかった強度を、0.5以上あると偽って公表していたという事件が発覚しました。 政府は揉消しに必死になっているようですが、現在でも、安心だと思って0.3の強度しかないマンションに住んでいるひとがたくさ…

「段ボール肉饅」─中国的感性の怪

中国人というのは、その人口の多さもあるけど、どこか得体の知れないというか、何を考えてい るのか解らないところがある。もちろんアメリカ人だって何を考えているか解らないのだが、中国人の場合は、その解らななさの幅が、極端に大きい。そしてそれが端的…

『ウルトラマンの日』 

今日はなぜか、『ウルトラマンの日』 らしい。1966年の今日、 ウルトラマンの放映が始まった。 自分は、「ウルトラマン」から「ウルトラセブン」までは必死になって観ていた記憶があるが、最近まで続いていた「ウルトラマン」シリーズと違うところは、ま…

■「しょうがない」話ーその弐

アメリカの、ロバート・ジョセフ特使の、「原爆投下は、数百万の日本人の命を救った」、という発言と、「イラク戦争は結果的に世界に平和をもたらす」、というブッシュの発言は、どこか似ているような気がする。しかし、似ているのは、いずれもアメリカにと…

「しょうがない」 話

「広島、長崎の原爆投下はしょうがない」 これは、押しなべて日本人全般の正直な感情だろうと思う。http://d.hatena.ne.jp/ccg/20061114小林秀雄が、「歴史とは、《思い出》である」 みたいなことを書いてたような気がするが、それもかなり自分に都合のいい…

■酒鬼薔薇聖斗と教育「環境」

ヨークマート看板問題に続いて。 石原都知事が陣頭指揮を採る東京都教育委員会の言動を見ると解るように、教育環境を取り巻く状況には、 [理念]ばかりが渦巻いている。 要するに教育とは、「心」の問題だというのだ。 國を愛する「心」、友達を大切にする…

東京都大規模小売店店舗立地審議会傍聴記

第三回東京都大規模小売店店舗立地審議会を傍聴してきました。長男と次男が通う小学校の校庭のすぐ真上に、でかでかと広告看板を付けたヨークマートに対して、看板の撤去を求めて都に審議を要請していたものです。 ざっと、どんな会議か説明すると、大規模小…

巨大看板の是非

明日26日、以前4月30日に書き込みをした小学校校庭に隣接するヨークマートの巨大看板(コジマ電気など)の是非に対する東京都産業労働局の審議が、、東京都庁で行われます。 http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2007/06/40h6k100.htm巨大看板の設置…

★「シエスパ」 爆発事故と 「特高自衛隊」

渋谷の女性専用温泉「シエスパ」が、大爆発を起こした。 近くにユーロスペースという名画座があって、よく近くを通っていたが、まさかあんなところで温泉を掘っていたとは知らなかった。 しかし、事故を知ってゾッとしたのは、近くを通らなくて良かったとい…

最低時給1000円は妥当か?

民主党が選挙対策の一環として、パート、アルバイトの最低時給を、1000円に引き上げろと言っている。 ネットを眺めていたら、それに対しての、いくつかの評論家のコメントがあったのだが、 そのほとんどは、その賃金の引き上げは、ほかの部分に皺寄せを…