2007-01-01から1年間の記事一覧

■コムスン折口雅博は悪人か?

敗戦直後、太宰治がこんなことを言っています。 ─「天皇を倫理の儀表としてこれを支持せよ。戀ひしたふ對象もなければ倫理は宙に迷ふおそれあり」─ それまで大和魂だとか何とか言っていた日本の、戦後手のひらを返すようなアメリカ化に、太宰は危機感を感じ…

▼自殺者側の倫理─松岡さん自殺事件続考

前回の書き込みで紹介した、イギリスのタイムズ紙の松岡農相の自殺に対してのコメント。─日本の「自殺行為は社会への個人的拒否のあらわれというよりも、社会との一体性の表現とみなされることが多い。」─ この、死生観の「差」はどこから来るのだろうか。イギ…

■松岡大臣自殺の「謎」 ─ なんでパジャマなの?

それにしても、何故、パジャマだったのだろうか? 松岡農相の自殺騒動で、どうしても解らないところはこの一点だ。 故松岡農相はシンゾー同様、闇社会との深い繋がりもあったようなので、複雑な事情が絡み合って死なざるを得ない状況に追い込まれたのだろう…

■松岡農相は「サムライ」か!?

戦争責任者達を、ひと括りにして、「英霊」と言うことができる、「代表的日本人」の感性は、石原東京都知事の口を通して、松岡農相を、「サムライ」と言わしめた。 自殺報道以後、いろんな人がいろんな事をしゃべっていたが、石原の、「彼もサムライだった」…

■‘ミクシー会員’上祐史浩率いる「ひかりの輪」

かつてのオーム真理教は、事件後、「アレフ」として存続し、そしてそのなかの一部が、「ひかりの輪」という新しいグループを作って独立した。出家信者は60名ほどで、代表は、上祐史浩。実は一昨日、20名ほどの小さなシンポジュウムがあって、「ひかりの…

「天恵」─日本国憲法

あまり好きな言葉ではないが、「主体性」 のようなものをとりあえず身に着けたイギリスであれば、憲法などというものがなくてもやってゆける。 しかし日本人には、自らを規制する、外発的な憲法が必要なようだ。 これもまた好きな言葉ではないが、日本人の、…

サルコジの勝因

「分かれ道」は、長い絵画の歴史を通して、常に重要なモチーフになっている。しかし、ここに提示した、1929年、アメリカ在住の日本人画家、国吉康雄によって描かれた『秋のたそがれ』は、そのような幾多の「分かれ道」とは全く趣を異にしている。 迷いや、不…

お笑い─東村山市長からの「回答」

東村山市長から回答がありました。思った通りの内容でしたが、そこに、ある種の寂しさを感じざるを得ないのが、なんとも情けないです。 『平成19年5月 1日付 森 利行様からいただきました「市長へのEメール(ヨークマート新店舗サイン計画について)」に…

藤沢周平ドラマ 『清左衛門残日録』

藤沢周平ドラマ 清左衛門残日録(1)<全14回>「昏ルルニ未ダ遠シ」 必見のドラマ、『清左衛門残日録』 の再放送が始まるようです。 今日、NHK BS2午後7時45分から。1993年の放送以来何度か再放送されていますが、未見の方には絶対にお勧め…

ジェットコースター事故 「リスクとスケープゴード」

ゴールデンウィーク真っ最中に起こった、背筋が凍りつくような、ジェットコースターの死亡事故、この責任は、いったい誰にあるのか? 心身両面で恐怖を体験させるジェットコースターが、全くリスクを排除した、安全な遊具であることは、可能なのだろうか? …

「美しい国」─日本の風景1─

この3枚の写真は、一見、日本のどこにでもある、郊外の風景のようです。高級感よりは、安さをイメージし、そしてさらには、景観や、建物との釣り合いを全く無視した巨大な看板が、まず目に飛び込んできます。 このありふれた風景を、なぜブログに取り上げよ…

『落日燃ゆ』その2─背広の似合う男

前回の補足。 あまり面白くなかったと書いてしまいましたが、それでも、「へーそうだったんだ」 と思った部分もいくつかありました。 例えば、広田は、海軍の山本五十六と親しかったそうですが、真珠湾攻撃が成功し、日本が破竹の勢いで、南方を制圧しつつあ…

■ 『落日燃ゆ』

『落日燃ゆ』は、東京裁判で、唯一文官で死刑になった広田弘毅の伝記小説。 興味があったのだが、読む機会がなく、先月、城山三郎が亡くなったことがきっかけで読んでみることにした。 印象としては、城山三郎の主著と云われるわりには全体的に短く、もう一…

 ハローワークの日(職安記念日)

今日、4月17日は、「職安記念日」らしい。ネットによれば、「1947年のこの日、それまでの職業紹介所が公共職業安定所」に改称したことによる」ということだ。昔、二十数年前、自分が職安に通っていたころの、暗く、後ろめたい雰囲気と違って、現在の「ハロー…

「東京ミッドタウン」

左の写真は、トニー・クラッグというイギリスの彫刻家のモニュメント。この大きな施設のなかで、最も美しい「部分」だ。 このモニュメントに象徴されるように、「東京ミッドタウン」は掴みどころのない空間というのが、最大の特徴だ。 例えば、真ん中の写真…

●集団自決の「強要」─という矛盾

終戦間近の最前戦で、日本軍が、一般住民に対して集団自殺を強要したかどうかという問題で、事実が曖昧だとして、高校生の「日本史」の教科書の記述から、文科省の指導によって、「強要した」という一文が消える。 この問題の難しいところは、一般的にイメー…

 ビジュアルで診る「都知事選」

対抗馬、浅野史郎は、すでにポスターで負けている。誰のデザイン、というかだれのアイデアか知らないが、あのこむつかしい顔をした白黒写真は、ノー天気に明るく笑う現職都知事のポスターの真下に貼られるというくじ運の悪さも手伝ってか、ほとんどシンタロ…

● 「クライマックス・シリーズ!」

プロ野球セントラルリーグの、2007年シーズン実施要綱が公式HPで発表されている。 その中に、ファン向けの、「Q&Aコーナー」があるんだけど、読んでて面白いのは、今年から、どこのチームが優勝チームなのかが、よくわからないシステムになっている…

「中村紀洋」を見捨てる社会

育成選手、中村紀洋は、400万円の年棒のままドラゴンズの一軍選手として、ベンチに入ることになるのだろうか。背番号も200番台から一桁に変わり、一軍登録も? という報道までは聞いたが、改めて契約交渉が行われたという話は伝わってこない。オープン戦でも…

●現代人の「脳」─二つの事故から

昨日、ちょっと考えさせられる二つの事故があった。 一つは、自然界に関わる事故で、もう一つはハイテク事故。 一度でも魚釣りの経験がある人なら知っていると思うが、魚が釣り針から逃れようとする力は凄い。 「おっ!デカイのがかかった!」 と思って手繰…

前回投稿の補足

─例えば、90年代、日本の現代美術に現れたムーブメントから。 90年代、日本の現代美術に現れたムーブメントが、それ以前の美術とどこが違うかというと、単純にいえば、それまでの美術表現が「外」に向いていたのに対して、 90年代の美術は、「内」に向いたも…

「シンプルライフ」の裏側

前回の続きから。 フロイトが云うところの「深層心理」は、相対的に、表面に対して少し深いところにあるというだけであって、別に未知の領域というわけではない。 それに対してユングの考える深層は、根源的な人類の起源にまで遡ることができる(かもしれな…

「死」へと誘うコミュニケーション

長い時間車に乗る時、たまに放送大学なんかを聴くことがあるのだが、先日、心理学者だか脳神経外科の医師だったかが、おもしろいことをしゃべっていた。 ある臨床例で、植物人間になった高齢の患者がいて、その患者が、意識は全く無いのに、大きなうなり声を…

女性は「腹を痛めて」子を産む機会

金融専門家の厚生労働大臣の「女性は子供を産む機械」発言が大騒ぎになったのは、その非常識さや、野党やリベラル派の格好の餌食になったからというよりは、日本の世間社会の後進性が思いもかけない「機械」という即物的な言葉で-表象-されてしまったことへ…

『北方領土の日』 と 脱『脱』ダム宣言?

あまり知られていないのだが、今日2月7日は、『北方領土の日』 らしい。 調べてみると、ー「安政元年12月21日(新暦に直すと1855年2月7日)に日露和親条約が結ばれ、北方領土が日本の領土として認められたことに由来」−とあり、政府が、北方領土返還運動を…

教育再生委員会提言ー「教師」というスケープゴード

少し前に「リリー・フランキー著『東京タワー』の主人公 の“母”は、スケープゴードである」という書き込みをしたが、どうやら小学校や中学校の先生達も同じ状況にあるようだ。世の母が家族のすべての責任と忍耐とを押し付けられることの対価物として、有り難…

納豆ダイエットとワーキングプア犯罪?

人気番組『発掘!あるある大辞典Ⅱ』の一連の納豆ダイエット騒動で驚くのは、多くのスーパーで納豆が本当に売り切れになってしまったことと、朝日新聞が一面と三面にそれぞれにトップニュースで扱っていたことだ。 あの番組で伝えられたことはほとんどでっち…

インスタントラーメン王の死

先日、インスタントラーメン王、安藤百福が96歳で死んだ。国家 への功績が極めて顕著であるとして、2002年には、なんと叙勲と しては上から二番目に権威があるとされる、勲二等旭日重光章が贈られてい る。 そして少し時代は遡るが、同じく96歳まで生きて、…

■リリー・フランキー『東京タワー』

この連休に、最近はやりの小説を一冊読もうと思って、ちょっと古いけどリリー・フランキー『東京タワー』 を買ってみた。 そこそこの長編で、『50万部突破!』 であれば、内容も期待できそうだ。 しかし、読み終わった感想としては「???」としか言いよ…