■‘ミクシー会員’上祐史浩率いる「ひかりの輪」

かつてのオーム真理教は、事件後、「アレフとして存続し、そしてそのなかの一部が、「ひかりの輪という新しいグループを作って独立した。出家信者は60名ほどで、代表は、上祐史浩。実は一昨日、20名ほどの小さなシンポジュウムがあって、「ひかりの輪」副代表の、広末晃敏氏の話を聞く機会が持てた。


 かつて、国家転覆を狙った狂信的な団体だったとはいえ、いまではその牙は完全に抜かれ、現状は少人数が寄り添う、共同生活者団体でしかない。とくに、「ひかりの輪」は、信者からの1万円の入会金と、1000円の月会費が主な教団の収入源であり、足りない分は、出家信者であろうとも、運送業などのアルバイトをして維持運営にあてているということだ。 また、「アレフ」も「ひかりの輪」も、法的には支払い義務のない、オーム事件の被害者への賠償を続けているのだが、しかし、「ひかりの輪」が、被害者救済団と約束を交わした、年間最低800万円の支払いでは、30億円近い残金を払い切るには、数十年を必要とするだろう。
 しかし、面白い、というか、重要なことというか、本当に考えなければならないのは、現在の、元オーム信者達の境遇や社会のなかの影響力から考えても、今のようにマスコミに騒がれ、国家権力によって抑圧を受けるような団体というイメージからは程遠いのにもかかわらず、日本中が、彼らの存在が、気になってしかたがないように見えるのは何故か?ということだ。
 ただ、国家権力がいつまでも関わろうとする理由は簡単なようだ。 今では、かつての左翼を抑圧するために組織した、「公安調査庁」の存在理由がなくなり、オームの元信者達を、危険集団扱いにでもしなければ、法務省に降りる、800億だかの莫大な予算が減らされてしまうからだ。ただ、「公安調査庁」だけでなく、国家が国家としての体を成すには、常に反権力と戦うというパフォーマンスが必要なわけで、元オーム信者達は、非常に分りやすいレベルの、スケープゴードを演じさせられていると結論付けてもいい。
 問題は、無宗教の、一般人の方だ。マスコミの方はどうでもいい。広末氏の話のなかで、一番興味を覚えたのは、ミクシーの会員となった上祐さんに、マイミク(つまりお友達)の申し込みが、殺到しているという話しだ。 自分も隠れ会員なので、覗いてみたが、短期間ですでに1000人を超えているのではないか。上祐さんにはオーム事件当初から、ミーハーの追っかけみたいなのは存在したが、今、上祐さんに寄り添いたいと思う、ミクシアンたちは、すでに深層心理では、宗教団体「ひかりの輪」に片足を突っ込んでいるのではないだろうか


 シンポの後の飲み会で、以前から面識のある上祐派幹部の人に、「ひかりの輪の運営次第で、組織も広がるし、賠償も早期に片付くのではないか」と、つい俗な発言をしてしまったのだが、はっきり言える事は、今の、というかこれからの日本社会では、広い意味での「宗教」が、大きくクローズアップされてくるだろうということだ。(右翼化もある種の宗教だが) 僕は、一昨日の話を聞いて、「ひかりの輪」の今後に、大きな興味と期待を覚えた。 ひょっとしたら、新たな組織論が生れるかもしれないと思う。【M】