2009-01-01から1年間の記事一覧

井上被告「死刑確定」の不当性を訴える

オウム真理教元幹部・井上嘉浩被告(39)の上告審判決があり、死刑が確定した。これで一連のオーム真理教事件での死刑確定者は9名となった。仮に残る4名の死刑が確定すれば、13名の死刑が確定することになる。 死刑13名というのは、歴史的「事件」で…

『真珠湾』と『HIROSIMA』

真珠湾攻撃が映像メディアに取り上げられる時、必ず映し出されるのが、激しく黒煙を上げながら沈没しようとする、「戦艦アリゾナ」だ。そのアリゾナは、今でも同じ場所に沈んでいる。そしてそのアリゾナの真上には、アメリカにとっての太平洋戦争の象徴的存…

『坂の上の雲』と国民病

『坂の上の雲』を読んで、思うことはたくさんあるのですが、どうしても解らないことは、なぜ、第二次大戦後日本人は、日露戦争の勝利を過小にしか評価しなくなったのだろうかということです。一度戦争に負けてショックを受けたからといって、それ以前に勝ち…

『坂の上の雲』と『プロジェクトX』

批判の多い、司馬遼太郎史観は、明治はいいけど昭和はだめ、という歴史観です。判りやすい考え方としては、日露戦争と第二次大戦を比べてみることですが、特徴的なことは、日露戦争はモダンな戦争だったのに対し、第二次大戦は、ロマンティックな戦いだった…

落ちこぼれ国家のための「行政刷新会議」見聞録

休日出勤が続いたので、月曜の午前中に休みを取り、「行政刷新会議」を見学してきました。甘いセキュリティーチェックを受け住所と名前を記入した後、スリッパを借りて高校の体育館程度の会場に入ってみると、「関西空港補給金」問題など、話題になりそうな…

天皇陛下御即位二十年をお祝いする 「 国 民 祭 典 」

天皇即位20年を祝って、政府主催の祝賀行事と、財界有志主催の祝賀イベントが行われた。それは少し前のように、政治色を感じざるを得ないようなものではなく、長閑で和気藹々としたものだった。しかし、なぜか舞台上で提灯を振らされる天皇を眼にしたとき…

鬼才黒木和雄 『美しい夏 キリシマ』

かつては鬼才と呼ばれた映画監督黒木和雄の生れた日、その代表作、『美しい夏 キリシマ』 を観る。 以前このブログにも書いた、『父と暮らせば』 と、『紙屋悦子の青春』 と合わせて、三部作を構成している。 いずれも、戦中、終戦後を庶民の立場から描いた…

「教育勅語」的感性

「教育ニ関スル勅語」(教育勅語)明治二十三年十月三十日 ■朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ恕yヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス(以下省略)─「…

10月26日は「暗殺の日」

10月26日は、朝鮮半島に関わる二人の人物が、同じ「暗殺」という方法で殺された日だ。 初代韓国統監府統監、伊藤博文と、韓国大統領、朴正煕(パク・チョンヒ)。 元々は武士と軍人という立場だったが、共通していることは、二人とも、優秀な実務家で、官…

増田美智子著 『福田君を殺して何になる』2─感想

増田美智子著『福田君を殺して何になる』は、光市母子殺人事件の経緯を追うものではなく、その多くが、福田君自身ほか、彼の過去を知る人や裁判関係者へのインタビューで構成されている。それは、これまで断片的にしか伝えられてこなかった犯人の素顔をかい…

実名ルポルタージュ『福田君を殺して何になる』

光市母子殺人事件のルポルタージュ『福田君を殺して何になる』が、被告の実名で出版された。基本的に少年犯罪に対しては実名を出すべきではないと思うが、この事件に限って言えば、早い段階で実名報道をした方がいいのではないかと思う。理由はこの事件があ…

『靖国神社と「カタルシス」』−2

今年はお盆休みを実家で過ごしたために、毎年恒例の「靖国フィールドワーク」はできなかったので、去年の投稿を一部変更し再掲載します。 『靖国神社と「カタルシス」』 先日読んだ対談本に、面白い事が書いてあった。ミッドウェイ海戦のあ と、天皇が東条英…

NHK特集 やましき沈黙 陸軍編

昨日から、NHK特集で、戦後しばらくたってから元海軍軍令部の参謀達が集まって開かれた、「海軍反省会」について、4日連続のドキュメンタリーを放送している。今日は、海軍の特攻攻撃についての話だったのだが、番組では、軍令部の関与について、間違っ…

懲役15年判決に思う

殺人者とは「ぶっ殺す」という声を発っするものであり、被害者を刺したあとに競馬場へ行ったりもするし、刺したあとに被害者を救護などしないものだ。そういう犯罪者を嫌と言うほど見て来た検察が過去の判例と照らし合わせて出してきた求刑が、「懲役16年…

京都教育大生レイプ事件と「裁判員制度」

京都教育大生による集団暴行事件は、レイプ事件と扱われていますが、例えば被害者が怪我を負っていたとしたら、強姦致傷事件となり、裁判員裁判の対象となります。これは、強盗事件と強盗傷害事件の差と一見、同じように見えますが、実際には検察の対応に大…

ニホンジンにとって「優良企業」って何?

ニホンジンにとって「優良企業」って何なの? と思わせる、ちょっと「?」な特集を、NHKが朝のニュースでやってました。 不況に時代に頑張っている企業ということで、ユニクロや、インスタントラーメンメーカーが紹介されていたんですが、このブログのカテ…

『裁判員制度』の実害─女性差別

今、以下のような実害が、裁判員制度を廻って起きようとしています。アジア女性資料センターの嘆願書をそのまま転載します。まったくもって、杜撰、怠慢、人格無視。今の日本のレベルはこんなものです。【M】 裁判員選任手続きにおける性暴力被害者の安全と…

『裁判員制度』の実害─判決拒否の薦め

『裁判員制度』の実害 裁判員制度がまもなく始まりますが、その法律の内容を、つまりどのようなシステムなのかをよく知らないで、司法への市民参加は必要だという理由から制度に賛成している人は多いと思います。法律の内容は酷いものなのですが、そのなかで…

お笑いニッポン!

先日、別のブログへのコメントで「豚インフルの問題をなんでスルーするんだ!」というお叱りをいただきましたが、今までインフルエンザ差別というものがあるとは思っていなかったのであえて取り上げませんでした。しかし本当にインフルエンザ差別が、しかも病…

「裁判員制度」凍結、見直しにむけた「12の論点」

4月28日、超党派「裁判員制度を問い直す議員連盟」による、問題提起です。長いですが、裁判員制度がいかに杜撰なものかが分かりますので、目を通してみてください。 http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/21929301bf51872669470a5abd17bbeb 「裁判員制度…

林被告に死刑判決 地に落ちた最高裁の権威

これが本当に三権の一翼を担う最高裁の見識なのかと、耳を疑うような内容の判決文だった。林被告が、保険金詐欺目的で夫や知人にヒ素や睡眠薬を飲ませていたとされる別件の疑惑が、無差別殺人の可能性が高いこの事件の状況証拠とされているのだ。 常識的に考…

ニホンジンの差別感情 ハリセンボン騒動から

ニホンジンは、不思議な差別意識を持っている。 普通、人種や宗教に関る差別にはいつも、非倫理的といううしろめたさが付き纏い、そして被差別者にとっては、そのことと戦うことが、生き抜く上でのアイディンティティーとなったりもする。 しかし、ニホンの…

新たな「肺結核差別」の始まり

ここ数日の北朝鮮ミサイル問題の報道にいらいらしていたのですが (なんで東京にまで迎撃ミサイルを配置しなければならないのか? 完 全に自民党が国民の不安を煽ってますよ)、 昨日今日の、吉本のタレントの肺結核騒動にはついに切れてしまって、東京都の…

「死刑」について その3 バダンテールの演説から

70パーセントの人が死刑存続を求める中、仏法務大臣バダンテールによる死刑廃止法案審議時の演説の一部から。 「司法の現実の中では、死刑とは何でしょうか。12人の男女の陪審員。2日間の審問。事件にまつわることがらの奥底まで触れることは不可能。そし…

「死刑」について その2

凶悪」さ、というのは当然のことだが、絶対的な基準はなく、相対的なものだ。 光市事件や、闇サイト殺人事件がそれまでの殺人事件と比べて、どれほど凶悪かということは、その時々の社会心理に寄るとことが大きい。 かつて、永山事件で東京高裁で示された、…

「死刑」についてその1

フランス革命では、恐怖政治と呼ばれる時代、短期間に2800名を超える、「反革命分子」がギロチンによって処刑された。 興味深いのは、その数の多ささよりも、ほとんどの受刑者が、うろたえることなく静かに死んで行ったという異常さだ。 でも、考えてみ…

「死」についての難題

あまり裁判や、死刑問題とは関係ありませんが、ずっと以前に「死」の問題について書いたものがあったので、再掲載します。【M】「長い時間車に乗る時、たまに放送大学とかを聴くことがあるのだが、先日、心理学者だか脳神経外科の医師だったかが、おもしろ…

被害者感情について─「闇サイト殺人事件」から

死刑を言い渡す側の心理の問題として、「信仰」できる対象の有無が大きな問題となるということを以前書き込みましたがhttp://moritakuto.exblog.jp/7724003/、被害者遺族にとっての、「死刑」にも大きな問題があると思います。 短期的には、「殺してしまう」…

死刑制度下のニホンジンの心理

一昨日の書き込みに対して、コメントが寄せられましたので照会し、反論します。 >「私も、基本的には、その考え方です。 だた、そのような考えの全く通用しない殺人を繰り返す人もいる。 そんな人が釈放され、自分や家族の生活圏に存在すると思うと。。。」…

追記 人間に許される行為の限界

自然な感情を、倫理の名の下にコントールすること。これは近代社会には不可欠なことだ。例えば司法でも同じで、泣き叫び悲しむ遺族を横目で見つつ、殺してしまいたい感情と遺族への同情を抑えつつ、なぜこの男が凶悪な殺人に及んだかを追求し、社会正義とは…