ニホンジンにとって「優良企業」って何?

ccg2009-05-24

ニホンジンにとって「優良企業」って何なの? と思わせる、ちょっと「?」な特集を、NHKが朝のニュースでやってました。 不況に時代に頑張っている企業ということで、ユニクロや、インスタントラーメンメーカーが紹介されていたんですが、このブログのカテゴリーのひとつ「国民性」がよく現れていると思うので、以前に書いたコメントを再掲載します。【M】

「先日、インスタントラーメン王、安藤百福が96歳で死んだ。国家 への功績が極めて顕著であるとして、2002年には、なんと叙勲と しては上から二番目に権威があるとされる、勲二等旭日重光章が贈られてい る。 そして少し時代は遡るが、同じく96歳まで生きて、明治、昭 和の天皇に謁見できるまで偉くなった起業家がもう一人いる、こちらは 真珠王と呼ばれた、御木本幸吉だ。 明治天皇に対して、「世界中の女性 の首に、真珠をしめさせてご覧にいれます」 と言ってのけた逸話は有名 だが、かつては貴重な宝飾品であった真珠の養殖化に成功して、だれで も真珠が買えるようにした。

 安藤百福が、多少体に悪くても、人々がひもじい思いをしなくてもす むような簡易食品を開発し、御木本幸吉がおそらく今の価値で、数十万 円もしたであろう真珠を、女子高生でも数千円で買えるようにした功績 から鑑みれば、かつては、丼物の王であった牛丼をファストフードと変 わらない値段まで押し下げ、庶民の空腹を満たすことに貢献した、牛丼 の吉野家創立者、松田栄吉の業績も、偉大なものだと云わなければなら ないだろうし、産業の空洞化問題よりも、安価な輸入品を、自分の旦那の 首を絞めていることにも気付かないのんきな主婦たちにばらまいた、ダイエー中 内功の功績も偉大だ。

 ステイタスに拘らず、とにかく安ければいいという日本人の感性は凄い。 それまでの伝統や慣習を簡単に変形してしまうことは、そうそうできることで はないのだ。 しかし不思議なのは、世の中が保守化していると云われるわり には、保護主義という言葉が日本ではほとんど聞かれないことで、日本 人はもともと個人主義的で、民族とか共同体という概念が希薄だという のはよく云われることだが、そのことを、日本人の消費動向はよく表していると思う。

 そう考えれば、日本が希有な高度成長を成し遂げたのも、古い伝統や 慣習といった共同幻想に縛られることがなかったからで、すぐに合理的 なものに乗り換えられたからだろう。 しかもそれをお上や政府が賞賛し てくれるのだ。 でもそれは昔からそうだったと考えるべきで、例えば、 「国学」なんていう不思議な学問が成立してしまうのも、当時、「唐ごころ (洋才)」に夢中になっていた日本人が、一部の学者には馬鹿に見えたからだろうし、それ は現代の保守派の立場とよく似ている。」