京都教育大生レイプ事件と「裁判員制度」

ccg2009-06-04

 京都教育大生による集団暴行事件は、レイプ事件と扱われていますが、例えば被害者が怪我を負っていたとしたら、強姦致傷事件となり、裁判員裁判の対象となります。これは、強盗事件と強盗傷害事件の差と一見、同じように見えますが、実際には検察の対応に大きな「差」がでてくると思います。それは検察が、強姦致傷事件での裁判員裁判を回避しようとする可能性があるということです。

 その理由の一つは、強姦致傷事件を裁判員裁判に掛けると、被害者のプライバシーに大きな問題が生じることです。前々回の投稿で書きましたが、6名の裁判員の他にも、数十名の裁判員候補者にも被害者の素性を知らせるため、被害者のプライバシーを確保することは難しくなります。(候補者に守秘義務はありません)
 そしてもう一つが、裁判員裁判の長期化です。京都教育大生の事件でもそうですが、一人が罪を認め、他の5人が、「同意の上」だと主張しています。 つまり強盗傷害事件のように、どちらかというと情状酌量を勝ち取るような裁判ではなく、事件性そのものが問われる裁判となるため裁判が長期化する恐れがあります。そうなると、裁判員制度に対しての世論を意識する検察が、裁判員裁判を避け、「強姦致傷」事件を、強姦事件と、傷害事件に分けて起訴してしまう恐れがあるのです。

 本来ならば、凶悪犯として罪を償わなくてはならない犯人が、裁判員制度の導入によって、執行猶予が認められ、野放しになってしまう可能性があるのです。【M】