実名ルポルタージュ『福田君を殺して何になる』

ccg2009-10-08

光市母子殺人事件のルポルタージュ『福田君を殺して何になる』が、被告の実名で出版された。基本的に少年犯罪に対しては実名を出すべきではないと思うが、この事件に限って言えば、早い段階で実名報道をした方がいいのではないかと思う。理由はこの事件があまりにも残虐であったからではなく、最高裁の差戻し審で確定した「死刑」判決が、不当判決である可能性が極めて高いからだ。

問題は、『光と影〜光市母子殺害事件 弁護団の300日〜』がFNSドキュメンタリー大賞受賞を受賞したことを始め、多くのメディアがこの死刑判決の不当性を指摘しているにも関わらず、積極的にこの事件そのものを見直そうという世論が興ってこないことだ。逆に、ルポとしては極めて粗雑であるとしか言いようがない、門田将隆著『なぜ君は絶望と闘えたのか』が持ち上げられる始末である。民主党政権になったとはいえ、死刑はいつ執行されてもおかしくはない。

このルポルタージュ、『福田君を殺して何になる』は、まだ入手できていないが、犯人の実像を知る多くの人からの情報を収集しているということだ。過去の、裁判での証言内容、判決文と照らし合わせてみる必要がある。永山基準を大きく逸脱し、小法廷でのみ差戻しを決定してしまったこの裁判がどのような意思を持って行われ、死刑判決が確定したのかを早急に検証し直さなければならない。【M】