井上被告「死刑確定」の不当性を訴える

ccg2009-12-10

 オウム真理教元幹部・井上嘉浩被告(39)の上告審判決があり、死刑が確定した。これで一連のオーム真理教事件での死刑確定者は9名となった。仮に残る4名の死刑が確定すれば、13名の死刑が確定することになる。

死刑13名というのは、歴史的「事件」である。この数は、幕末の「安政の大獄」、明治末期の「大逆事件」での刑死者を上回るのだ。しかし不可解なことは、「安政の大獄」も「大逆事件」も、当然国家反逆罪に相当すると思われるのに対し、明らかなテロ行為であるはずの、「オーム真理教事件」には、国家反逆罪(破防法)は適応されていない。つまりオーム事件は、大規模な組織犯罪であるとは言えず、個々の無責任さと集団心理が引き起こした、「個別犯罪の束」であると解釈できるということだ。要するに、彼らは「愚か」な集団だったという解釈だ。

 で、あるのなら、井上被告に対する最高裁の、「地下鉄サリン事件では犯行全体の円滑な実行のため、不可欠な役割を積極的に果たしたことは、事実関係を率直に供述して事件の解明に貢献したことを考えても、死刑はやむを得ない」、という控訴棄却理由は、正当性を欠くと言わざるを得ないのではないか。【M】