光市母子殺害事件と裁判員制度

ccg2008-07-05

少し前の話題ですが。
「来年5月21日に施行される裁判員制度を前に、1つの事件を5つのグループ(裁判官3人、裁判員6人)が同時に審理して判決を出し、刑の重さ(量刑)にどのような差が出るかを検証する模擬裁判が14日、東京地裁で開かれた。
 その事件とは、夫に長年DV(配偶者間暴力)を受けた末、妻が殺意を持って夫を刺し、重症を負わせたという殺人未遂事件だ。そしてその結果は、検察側の求刑が、懲役6年であったのに対し、4グループが懲役3年、執行猶予5年、実刑を言い渡したのは1グループだけだった。
 この模擬裁判はニュースでも話題になったのだが、ほとんどの大手メディアの論調は、判決に差がなく、裁判員制度の正当性を訴えるものだった。しかし、問題は、どのグループの裁判官も、実刑を主張していたということだ。つまりこれまでの判例からすれば、この事件は、実刑が相当であったということだ。つまり、裁判員制度とは、裁判に市民感覚を導入することによって、情状酌量の余地を広げるというものなのだろうか。そうであれば、「いたいけな妻」であれば、殺意を持って人を刺しても、裁判員の同情さえ勝ち取れば、普段とあまり変わらない生活ができるのだ。

 この模擬裁判のすぐ後に、光市母子殺人事件の判決があった。当時18歳であって、複雑な家庭環境を持ち、検察側の精神鑑定でさえ、当時の精神年齢は12歳であったという若者に対して、永山基準を超える死刑判決が言い渡された。そこでの被害者は、「いたいけな母子」 であった。 そこでの市民感情は、「怒り」 として、極悪非道な少年を弁護した弁護団に対する、数千通の抗議として現れた。
 しかし、乳児を床に叩き付けた、両手で首を絞めたなどに、検察側の捏造があったという事実をみんな知っているのだろうか。死刑を前提に高裁に差し戻した最高裁は知っていたはずなのだが」 【M】

追記:上記の執行猶予付き判決を受けた、いたいけな主婦が実際にはそのあとどうなるか。 民意が執行猶予だったとしても、検察が控訴すれば、裁判員を交えなくてもいい、高裁の裁判官から実刑が言い渡されて、刑務所行きです。要するにこの裁判員制度自体が茶番劇なんです。ちなみに陪審員制度下では、検察は控訴することができません。