「耳かき店店員」殺害事件事件2

ccg2010-10-25

闇サイト殺人事件」では、3人の男が一人の女性を殺した。通常であれば、犯人達はその関与の差によって、それぞれ無期や有期刑の判決が言い渡されたはずなのだが、一人残された被害者の「母」の悲しみが同情を呼び、30万を超える「死刑嘆願!」署名を集め、二人に死刑一人に無期懲役の判決が言い渡された(現在検察が控訴中)。
 また、「光市母子殺人事件」では、母親と乳児を殺害し、その手口が残忍であったということで、当時18歳の少年に死刑判決が言い渡された。裁判過程で、残虐な殺害手口が検察の作り話であったことが発覚したのだが、遺族(夫/父)の極刑嘆願が大きく報じられ、世間では「残虐極まりない事件」という物語が一人歩きすることになった。

 ここには二つの問題がある。
1ー被害者遺族の悲しみが大きければ大きいほど、社会への影響が大きければ大きいほど殺人者の罪は重いのか?
2ー「被害者遺族の悲しみ」と「社会への影響」の強度はどのように判断されるのか?

例えば、「闇サイト殺人事件」の被害者が、母子家庭で育った一人娘ではなく、身寄りも定かでない夜の女だったとしたら、闇サイトで知り合った男同士の犯罪という特殊性がこれほど大きくクローズアップされただろうか。あるいは、「光市母子殺人事件」の殺害状況や、犯人の特種な家庭環境や精神年齢の幼さが正しく報道されていたら、これほど大きな社会問題になっていただろうか。

本来、裁判の場に「被害者」を立ち会わせるべきではないし、「判決」に、社会への影響や、被害者の意思や感情を入れ込むべきではない。なぜなら将来、そのことで、遺族自身が苦しむことになる可能性が極めて高いからだ。
 そう思う理由は次回。(M)