メルファムという会社

知っている人も多いと思うが、㈱メルファムという会社がある。これは、将来の郵政完全民営化に向けた対策として、日本郵政公社が作った会社で、当然天下り会社でもある。その会社は何をする会社かというと、郵便局の「ゆうパック」の配送を請け負っているのだが、全ての宅配物を、郵政公社が決めた金額の半値で配達するのだ。普通、クロネコヤマトや佐川でたのむと、700円ぐらいかかるところを、350円で請け負う。「ゆうパック」でありながら、請求書はメルファムから来るし、支払いも郵便振替で、メルファムに支払う。そこから発生する赤字分は、当然税金でまかなわれるシステムになっている。
おそらくこのサービスは現在、個人客ではなく企業だけを対象にしていると思うが、実は自分の会社でも契約していて、従来使っていたクロネコヤマトへの荷物量は、だいたい三分の一ぐらいに減ってしまった。おかげで、月、7万円ほどかかっていた宅配便コストは、4万円ほどに激減した。
自らも契約しておきながら言えた立場ではないが、これが国家のやることだろうか。月3万の差額は、本来市場に出回るべきものだが、これでは単に日本経済がその分縮小しただけであって、しかもただでさえ足りない税金からその分を穴埋めするということになるのだ。国としては、将来の完全民営化までの間に、経営体力を付けさせたいのだろうが、これでは民間の体力を弱らせるだけで、国家権力による民間企業潰し以外の何ものでもない。それとも、民営化されれば他社の半額で経営が成り立つわけがないのだから、実は本気で民間企業を潰してしまえと考えたのだろうか。「改革断行、旧態自民党をぶっ潰す」の掛け声で、300議席を獲得した小泉政権は、このような姑息な手段を使っているのだ。
しかし、今日、ネットでニュースを見ていたら、こんな記事が目に止まった。
佐川急便グループは18日、中国国家郵政局と提携し、企業向けに書類や貨物などを取り扱う国際宅配便事業を、来年4月をめどに始めると発表した。
日本の郵政公社に当たる中国郵政局は、中国国内で最大となる2000都市に配送網を持っており、提携により、きめ細かいネットワークを生かしたサービスを提供する考えだ。
佐川急便グループの佐川グローバルエクスプレスが、中国郵政局の宅配便事業会社と提携する。日本国内は佐川グループ、中国国内は中国郵政局の集配網を利用する。2国間は航空機で運ぶ。発送された荷物は、基本的に1〜2日後に目的地に届ける。先行している国際配送サービス大手の米フェデラルエクスプレスドイツポスト傘下のDHLより割安な料金を設定する方針だ。」(読売新聞)
佐川もヤマト運輸も、長く旧郵政省と戦ってきた会社だ。権力の「いじめ」に屈することなく、なんとか頑張ってほしいと思う。自社でも徐々に「ゆうパック」を減らしてゆくつもりだ。【M】