■中国残留孤児という─「負担」

                      
今日、7名の中国残留孤児が肉親を探すために帰国した。それに先立って、厚労省は、「肉親関係者の皆様へのお願い」と言うメッセージを発表した。

 ─(前略)孤児のかたがたが帰国する場合、帰国旅費の国庫負担、親族に代わって身元を引き受け相談相手となる身元引受人制度、日本語研修、自立指導員の派遣など日本に定着し自立した生活を営むため様々な援護施策を講じており、ご親族だけに負担をお掛けすることはありません(後略)─

「ご親族だけに負担をお掛けすることはありません」。こういう表現を使うことができる厚労省の役人は、はじめから、本音を曝け出さなければ肉親が名乗り出るわけがないと絶望しているのか、それともただのノータリン官僚なのか。
 中国に取り残された同胞が、「負担」となる前にどうしてもっと早く帰れるようにしてあげられなかったのか。国交が断たれていたなどというのは嘘だ。国交が回復するはるか以前に厚生省は、5000人近くもいることが判っていた孤児達の戸籍を抹消していたのだ。
しかも国交回復後でも肉親探しに奔走したのは、民間の人達ではないか。心から肉親に会いたいと切実に願う家族たちがいるあいだに、国はどうしてもっと事態を深刻に受け止められなかったのだろうか。
 今回帰国するのは、順番がずっと後回しになって、敗戦時にはゼロ歳から5〜6歳という人たちばかりなのだが、あれからすでに70年以上が過ぎようとしている。【M】