軍事機密費流用事件と岐阜県庁裏金事件

昨日、学童の父母会があり、その中の一人である、市役所に勤めるお父さんから面白話を聴いた。 最近は、とにかく予算が少なくて、例えば予算要求をする時、年度初めに、コピー用紙を10箱なら10箱と、要求すると、まずその時点で、ほぼ一律に2割はカットされてしまう。そして年度末になっていざ 「足りないぞ!」 ということになると、他の部署に忍び込んで、盗んでくるというのだ。これでは、役人が、こそこそと「裏金」を貯めたくなる気持ちが多少は理解できる。

 そしてちょうど今、松本清張の、『昭和史発掘』 という古い本を読んでいるのだが、その最初の項に、元陸軍大臣で、政友会総裁田中義一の、陸軍機密費流用事件というのがある。 それは、毎年、軍事機密費として予算が振り分けられるのだが、使途監査が杜撰で、毎年、残った予算が、裏金としてプールされる。 そのお金を、田中義一が、個人的に、政争のために流用したという事件だ。 
 この事件も、岐阜県庁の事件も、よく似ているのは、裏金の隠し方で、 例えば、陸軍も、県庁の役人も各担当者の、個人名義で口座を作らせたり、出入りしている業者に預けたり、陸軍では今で言う、怪しげな「町金」に預けて、そこから無記名の公債を買わせたり、 岐阜県庁では、今日発覚したところによると、 出入りの業者や料亭に裏金をキープして、飲み食いに使っていたり。
 なにもそこまでしなくても、と思うが、やはり後ろめたいことがあると、泣く子も黙る陸軍でも、か弱い公僕の役人でも、同様に臆病になってしまうらしい。 

軍事機密費流用事件の方は、その後、田中義一が総理大臣になれたことからもわかるように、うやむやになってしまった。 岐阜県庁事件では、たぶん同じような後ろめたさを持つ役人の、検察、警察は、逮捕者とは言わないまでも、懲戒免職の一人でも出すことができるだろうか。【M】