流水プール死亡事件

きのう、埼玉の市営プールで7才の女の子が、流れるプールの吸水口に吸い込まれて亡くなるという痛ましい事故があった。 吸水口をカバーするアルミ製の格子が外れていたために起こった事故だということだが、その格子はなんと針金で固定してあったという。 プールの排水口に吸い込まれるという事故は過去何度も起こっているが、常時吸水と排水で流れを作るプールであれば、吸水口が最も危険なポイントであることは誰が考えても明らかなことで、どうしてそこの格子が針金で止められていたのだろう。

 今日のニュース番組や新聞の論調では、丸投げされた外注のそのまた外注の管理会社が、安全管理マニュアルをちゃんと作っておらず、いざという時の対応ができていなかったことが原因であるようなことを言っている。
 
 冗談じゃない! 「いざ」という時に、「流れるプールの吸水口が外れる」などという異常事態を「想定すべきであ」ると考えること自体がどうかしている。 これは、運営する市当局の、絶望的な管理能力の欠如が引き起こした、役人による無作為致死の「事件」なのだ。

 だいたい、いざという時とは、人が溺れたとか、落雷事故があったとか、心臓麻痺を起こしたとかの、どう管理しても防ぐことができない─「不慮」─の事態をいうのであって、今回のように、流れるプールの吸水口の蓋の安全確認をするなどということは、マニュアルがどうこうという低レベルな問題とは、ぜんぜん別次元の、ましてや高校生のアルバイトの対応が云々というような問題とは隔絶した、運営する市当局の、─「倫理」─に関わる問題なのだ。
 
 プールでは、不慮の事故以外での重大事故は、汲排水口以外考えにくいのだから、市の責任担当者は、常時気を配るあるいは外注先に常に注意させることが責務なのであって、逆に言えばマニュアルという「定期点検的な規則」では、絶対に管理してはいけないものなのだ。【M】