「日本サッカーの弱点」ーその壱

去年だったか一昨年だったかに、川渕三郎キャプテンがFIFAの総会に招かれ演説した。その時、今後の日本サッカーの強化方針を示したあと「我々日本サッカーは、50年後のワールドカップ優勝を目指す」と締めくくって拍手喝采を受けたそうだ。その話を聞いたとき、50年とはまたずいぶん遠慮したものだと思ったが、先日のオーストラリア戦を観て、なるほどなと思った。いざという時に集中力というか執念というか、そういうものがどうしても動きに現れてこないのだ。頭ではわかっていても体が反応してくれない。転がる球を追いかけるスポーツなのだから農耕民族には向いていないと言ってしまえばそれまでだが、決定的なシュートを打たれる前の最後のあがきができない。1点目2点目の失点はまさにそうだった。どうしても他力になってボールを見てしまう。それと、試合環境が悪いと、最初から手を抜いてしまう。手を抜くというのは表現が悪いが、オーストラリア戦では、「暑い」と感じた瞬間から、90分トータルで戦うことをイメージしてしまって最初からアグレッシブに戦うことを躊躇してしまうのだ。結果的にこれまで一度もやったことのない「一点を守りきる」という想定外の試合になってしまい、同点にされた瞬間に「負け」をイメージしてしまった。
 日本は、今回のドイツ大会を、W盃元年と考えるべきなのかもしれない。例えば韓国は、ワールドカップで初勝利をあげるまでに16年かかっていたと思う。フランス大会での勝利が初めてだった。日本でJリーグが始まって確か13年、今の代表とは違って始めから「世界」を意識してサッカーを始められた子供たちが成長した時に、本当の戦いが始められるのだろう。僕の小学校3年生の長男がサッカーをやっているが、上手な子共はびっくりするほど器用にボールを扱うことができる。日本は子供のサッカー人口がとにかく多いから、その中でも優秀な子は、充分将来のロナウジーニョになれると思う。そうすれば、農耕民族というハンディーをテクニックによってカバーできる最強のチームができるかもしれない。ー[M]